

コラム
サボテン
サボテンには、一般的な「棘」の他に「グロキディア」と呼ばれる微細な針が存在します。このグロキディアは肉眼では見えにくいほど小さく、肌に触れると簡単に刺さり抜けにくいため、取扱いには注意が必要です。さらに、サボテンの根は雨季に急激に水分を吸収しやすく広がりますが、乾季には縮小して水分の蒸発を抑えるように適応しています。また、花は夜に咲く種類が多く、夜行性の昆虫やコウモリによって受粉が行われることが多い点も特徴です。

サボテンってどんな植物?
多彩な種類
サボテン科(Cactaceae)には、約150属2,000種以上が存在し、球形、柱状、木のような樹形になるものなど、その形状は多岐にわたります。
分布と生息地
南北アメリカ大陸を中心に、乾燥地帯や高山帯など過酷な環境にも適応して生育しています。
サボテンの特徴
棘(とげ)とグロキディア
一般的にイメージされる長く硬い棘に加え、極めて細かい針である「グロキディア」を持つ種類があります。グロキディアは肉眼では見えにくく、肌に触れると抜けにくい構造をしているため、取り扱いには特に注意が必要です。
根の適応機能
雨季には一時的な雨量を効率よく吸収するために急速に根を伸ばし、体内に水分を貯蔵します。乾季は水分の蒸発を防ぐために根が縮小し、生存に必要な量の水だけを維持します。この柔軟な根の仕組みにより、過酷な砂漠環境でも生き抜くことが可能です。
花の特徴と受粉方法
夜間に咲く種類が多く、夜行性の昆虫やコウモリによる受粉が一般的です。サボテンの花は色鮮やかで、一度に大量に咲くものや、大きな花を咲かせる種類もあります。
サボテンの育て方(かんたんポイント)
日当たり
多くのサボテンは日光が大好き。日当たりの良い場所に置くと元気に育ちます。
水やり
成長期(春~秋)は土が完全に乾いたらたっぷり与えるイメージでOKです。過度な頻度の水やりは根腐れを招くため注意しましょう。休眠期(冬~早春)は月に1回程度など、ごく少量で十分。多くの種類が休眠するため、水の与えすぎは禁物です。
土・鉢選び
サボテンは非常に水はけの良い土を好むため、専用のサボテン培養土や軽石多めの配合を使用します。通気性を確保するため、素焼き鉢を選ぶと根腐れリスクの軽減にもつながります。
肥料
成長期に少量の緩効性肥料を与える程度でOK。与えすぎは逆効果になることも。
注意点
刺さったら無理に引き抜かない
棘やグロキディアが刺さったときは、セロハンテープなどにくっつけて丁寧に取り除くと痛みが少なく済みます。
害虫・病気
乾燥に強いサボテンでも、湿気が多い環境でカイガラムシや根腐れが起こることがあります。通気性に気をつけて育てましょう。
お子様やペットの安全に配慮
トゲが危ない場合は、少し高い位置に置いたりフェンスを設けるなど工夫が必要です。
サボテンの楽しみ方
ドライガーデンの主役に
砂利や石を用いたドライガーデンでサボテンをメインにすると、見た目がぐっと異国風に。
インテリアとして
小さめの品種は室内の窓辺に置いても可愛らしく、部屋のアクセントに最適です。
花を楽しむ
年に一度、短い期間だけ咲くサボテンの花を眺めるのも大きな魅力です。
サボテンは、乾燥地帯で進化してきたため水やりやケアが比較的ラクで、初心者でも育てやすい植物です。その一方で、トゲやグロキディアの扱いに気をつけることや、水はけの良い土で根腐れを防ぐことが大切です。上手に育てると、花が咲いたときの美しさやユニークな形を長く楽しめます。ドライガーデンやロックガーデンの演出に、ぜひ取り入れてみてください。